2006年07月27日

フィラリア予防の重要ポイント

① 蚊の発生期間と、フィラリア予防薬の投与期間は、なぜ1ヶ月ずれるのか?
② フィラリア予防薬を投与する前に、なぜ血液検査をしなければいけないのか?


はじめに

フィラリアは、心臓の中に寄生する寄生虫(犬フィラリア症)で、主にイヌ科の動物が罹患しますが、猫やまれに人間もかかることがあります。

ちょうど、そうめんのような太さ・長さです。

フィラリアは蚊に刺されることにより感染します。
フィラリアにかかっている犬の血液にはフィラリアの子虫が多数含まれており、蚊が吸血する際に、この子虫を他の犬にうつしてしまうのです。
したがって、蚊の発生とフィラリアの寄生とは、密接な関係があります。

予防法で最も一般的なのは、月に一回のペースでフィラリア予防薬を投与する方法です。
この薬剤は、蚊が運んできたフィラリアの幼虫が成虫になるまでに、子虫のうちに殺してしまうのです。
この方法が長年の実績があり、安全で確実でしょう。
ただし、この薬剤には、注意しなければならない特徴があります。

以下の点について、皆さんは正しい知識をお持ちですか?


① 蚊の発生期間と、フィラリア予防薬の投与期間は、なぜ1ヶ月ずれるのか?

フィラリア予防薬は、蚊に刺されるのを予防しているわけではありません。蚊が運んできたフィラリアの子虫を殺して、成虫が心臓に寄生するのを予防しているのです。

ill_filaria1.jpg
蚊が運んでくるフィラリアの子虫は「第3期子虫」と呼ばれる状態で、
犬の体内に侵入してから、「第4期子虫」、「第5期子虫」へと成長していきます。

ill_filaria2.jpg
フィラリア予防薬で確実に殺すことができるのは、「第4期子虫」です。
つまり、蚊が運んできた「第3期子虫」から、一段階フィラリア子虫が
成長するのを待たなければなりません。
予防を怠ると、フィラリア子虫は次々と犬の体内で成長してしまいます。

ill_filaria3[1].jpg
第4期子虫を狙って、月に1回のペースで予防薬を投与すれば、ほぼ
完璧にフィラリア子虫を殺滅することが可能になります。
そのため、蚊が発生している期間より、1ヶ月遅く投薬開始、1ヶ月遅く
まで投薬し続ける必要があるのです。
ill_filaria4.jpg


② フィラリア予防薬を投与する前に、なぜ血液検査をしなければいけないのか?

フィラリア予防薬はほとんどの犬には副作用が無く、極めて安全性の高い薬剤ですが、すでにフィラリアに感染している犬に投与すると、深刻な問題が発生する可能性があります。

フィラリアに感染している犬の心臓にはフィ
ラリア成虫が、血液中には、
大量のフィラリア子虫が存在します。
ill_filaria_before.jpg

この状態でフィラリア予防薬を投与すると、血液内のフィラリアが死にます。
ill_filaria_after1.jpg

このフィラリアの死骸が、やがて血管を閉塞し、血液の流れを遮断して
しまいます。血流の遮断された部位によっては、脳や心臓などに障害が
発生することがあり、命の危険があります。
ill_filaria_after2.jpg

ですから、このような事故を起こさないよう、投薬開始前に、血液検査による、フィラリア感染の有無を確認する必要があるのです。

たとえ前年にフィラリア予防を実施していた犬でも、
①予防薬を投与する時期が不適切だった。
②予防薬を与えたつもりだったが、犬が吐き出すなど、現実には投薬できていなかった。
③投薬を忘れていた月があった。
等のために、フィラリア感染が起きてしまう場合も考えられますから、血液検査が必要です。
もちろん、フィラリアに感染していなければ、安心して予防薬は投与できます。

投稿者 jasperah : 22:51 | コメント (0)